同じ製品名がページによって違う表記になると、読み手が別の製品だと受け取ることがあります。誤訳がなくても、用語や文体の不統一が説明のわかりにくさにつながります。
訳文を確認するときは、意味が正しいかと、サイトとして表記がそろっているかを分けて見ます。用語集で名称や専門用語の扱いを決め、文体や数値表記は翻訳ガイドラインにまとめます。そのうえで、誰が確認し、修正をどこまで反映するかを決めておくと、更新を続けやすくなります。
このガイドは、企業サイトのWeb担当者と翻訳の確認担当者向けです。まず用語と文体の基準を作り、公開前の確認と修正の引き継ぎに使ってください。導入全体の準備は、Webサイト多言語化の進め方で説明しています。
用語集には、判断が必要な言葉から登録する
用語集には、製品名・サービス名・組織名や、繰り返し使う専門用語を優先して登録します。公式な外国語名があるものはその表記を使い、原表記のままにするものは翻訳しない方針を決めます。製品名だから必ず原文を残す、という一律の決め方にはしません。
同じ単語でも、文脈によって適切な訳が変わります。たとえば、日本語の「運用」がシステム管理を指すのか、資産の運用を指すのかで、英語の表現は変わります。適用するページや意味を記録しておくと、別の文脈まで同じ訳に置き換えるのを防ぎやすくなります。
登録候補には、原語、採用する訳語、使うページ、原表記を残すかどうか、確認担当者を記載します。最初からすべての語を集める必要はありません。重要な名称と、すでに訳が分かれている言葉から始め、実際のページで確かめながら追加します。
正式な表記は、担当部門と翻訳担当者で確認する
製品や組織の名称は、その内容を管理している部門に確認します。翻訳担当者は、訳語の候補や言語上の違いを示し、担当部門と一緒に採用する表記を決めます。法的な表示や重要な条件は、必要な専門部門にも確認を依頼してください。
担当者だけで判断できない言葉は、確認中として残します。仮の訳を正式な用語集へ入れてしまうと、複数のページに広がってから修正が必要になります。
単語・文章・画像で、使う機能を分ける
AIシュリーマンでは、用語集に加えて、ページや言語の条件、HTML、画像、リンクなどに応じた設定を利用できます。どの機能を使うかは、修正したい対象と適用範囲で選びます。
- 通常辞書:単語やフレーズの訳し方を指定します。
- 条件付き辞書:言語やURLなどの条件に合う場合だけ、指定した訳語を使います。
- HTML辞書:HTMLの構造を含む範囲を置き換えます。対象の構造が変わっていないかも確認します。
- 正規表現辞書:規則に一致する文字列を対象にします。意図しない文章まで一致しないか、登録前に試します。
- 画像辞書:言語ごとに表示する画像を指定します。
- リンク置換:言語ごとのフォームや資料など、移動先のURLを指定します。
文章の翻訳と、画像内の文字を翻訳する処理は別です。画像内の文字が必要な情報を含んでいる場合は、言語別の画像を用意する方法や、画像翻訳の機能を検討します。AIシュリーマンにも画像翻訳のオプションがありますが、生成された画像の内容や見た目を確認してから反映します。
文体のルールは、読み手とページの用途に合わせる
用語集は言葉の扱いを決めるためのものです。文章全体の丁寧さや説明の詳しさ、数値・日付の書き方は、翻訳ガイドラインにまとめます。
まず、誰が読むページなのかを書きます。専門家向けの仕様説明と、初めてサービスを知る人への案内では、必要な説明の量が違います。次に、会社の呼び方、読み手への呼びかけ、文体、数値・日付・単位の表記を決めます。参考にしてほしい訳文があれば、そのページや資料も示してください。
会社紹介、採用、技術情報などで文体を変えることもできます。全ページを同じ調子にそろえるより、同じ用途のページで基準がそろっているかを確認します。ただし、製品名や契約条件など、用途が変わっても意味や表記を保つべき情報は共通で管理します。
言語によって自然な丁寧さや表現は異なります。日本語の指示をそのまま他言語に当てはめず、各言語の確認担当者と、意図した文体になっているかを確かめます。
確認の要否は、更新頻度だけで決めない
人による確認をどこに入れるかは、誤訳した場合の影響、表現の難しさ、公開までの時間を踏まえて決めます。ニュースやブログでも、料金、期限、重要な条件の変更を含む場合があります。ページの種類だけで確認不要と決めないでください。
製品の仕様や料金は、内容を把握している担当者が確認します。契約条件や開示情報などは、必要な専門部門に確認を依頼します。定型的な案内を自動で公開する場合は、その対象と条件、問題が見つかったときの修正方法をあらかじめ決めておきます。
確認を依頼するときは、ページのURL、原文、訳文、変更箇所、回答してほしい期限をまとめます。すべてを読み直してもらう必要があるのか、変更した段落だけでよいのかも伝えると、作業量を見積もりやすくなります。
現地の担当者に見てもらう場合も、依頼する範囲と判断してほしい点を明確にします。自然な言い回しの確認と、製品・契約上の正確さの確認は、担当者が異なる場合があります。
修正は、適用範囲を確認してから他のページへ反映する
訳文の修正には、そのページだけに適した修正と、サイト全体でそろえたい修正があります。指摘を受けたら、まずどちらかを判断します。
正式な製品名の訂正なら、用語集の更新と、同じ名称が出てくるページの確認が必要です。特定の文章だけを自然にしたい場合は、単語を一律に置き換えると、別のページで意味が変わることがあります。文章単位や条件付きの設定を検討してください。
修正した理由と適用範囲も記録します。担当者が変わっても、なぜその訳語になったのかを確認できるためです。指摘の件数を見る場合は、更新した文章量や対象ページ数もあわせて見ます。件数だけが増減しても、品質が変わったとは限りません。
用語集と、過去の訳文の再利用を区別する
用語集は、使う訳語や適用条件を指定するためのものです。翻訳メモリは、過去の原文と訳文を保存して再利用する仕組みを指します。
どの訳文が保存されるか、手動で直した内容が次の翻訳にも使われるかは、サービスや機能によって異なります。画面に表示された訳文が、すべて自動的に蓄積されるとは限りません。再利用したい修正は、保存先と反映方法を確認してください。
AIシュリーマンでも、用語集への登録と、表示時の翻訳処理を同じものとして扱わないことが必要です。運用を決める際は、どの操作で内容が保存され、どのページに反映されるかを、実際の設定で確認します。
公開後の確認を、更新手順に組み込む
ページの追加、用語の変更、CMSの改修、サイトのリニューアルは、訳文や表示を確認する機会です。日常の更新と合わせて、どのページを見るか、誰に連絡するかを決めておきます。
最初は、重要な名称を用語集に登録し、代表的なページで表記と文体を確認してください。その結果をもとに、公開前の確認担当と、修正を反映する手順を決めます。更新しながら必要なルールを追加し、使われていないルールは見直します。
