翻訳を依頼するときは、原文のどこまでを変えてよいかを共有してください。製品仕様の数値を守る作業と、広告コピーを別の言語で作り直す作業では、必要な資料も確認方法も異なります。

翻訳では、意味と条件を正確に伝える
翻訳は、原文の意味を別の言語で伝える作業です。語順や表現を変えて自然に読める文章にすることも含まれます。翻訳を選ぶと必ず直訳調になる、というわけではありません。
会社概要、製品仕様、ニュースリリースなどでは、名称、数値、対象、期限、条件を正確に伝えます。契約や開示に関わる文章は、読みやすさのために意味を省いたり、約束の強さを変えたりしないように確認します。
たとえば「この製品は屋内で使用できます」を訳す際に、「どこでも使用できます」と広げることはできません。自然な表現になっているかと、説明している範囲が同じであるかを分けて確認します。
ローカライズでは、地域で理解・利用できるように整える
ローカライズは、言語に加えて、利用する地域の表記や習慣に合わせる作業です。日付、単位、住所の入力形式、画像、補足説明などが対象になります。
日本独自の制度や行事は、名称を翻訳するだけでは伝わらない場合があります。その場合は、読み手がサービスを理解するために必要な背景を補います。ただし、国や地域だけで好みを決めつけず、対象の利用者や現地担当者に確認します。
問い合わせフォームなら、住所や電話番号を入力できるか、必要な説明が読めるか、送信後にその言語で案内を受け取れるかまでが確認対象です。文章の翻訳が完了していても、操作できなければ対応が完了したとはいえません。
トランスクリエーションでは、伝えたい印象から表現を作る
トランスクリエーションは、広告コピーやブランドメッセージを、対象の読み手に合わせて作り直す作業です。原文の語句に対応する訳を探すことに加えて、どのような印象を持ってほしいかをもとに複数の表現を検討します。
対象になりやすいのは、スローガン、キャンペーンの見出し、短い広告文などです。たとえば、言葉遊びが中心の見出しでは、その仕掛けをそのまま訳せない場合があります。伝えたい利点や雰囲気を確認したうえで、別の表現を提案します。これは架空の検討例であり、特定企業の広告事例ではありません。
表現を自由にする場合も、製品の性能や効果を追加してよいわけではありません。変えてよい箇所、残すべき意味、使えない表現を先に共有します。

ページ単位より、文章の役割で使い分ける
同じ製品ページにも、正確さを優先する仕様欄と、利用場面を伝える見出しがあります。ページ全体を一つの方法にそろえる必要はありません。
- 製品仕様・料金・契約条件:意味や条件を保つ翻訳を基本にし、内容を把握した担当者が確認します。
- 会社紹介・サービス説明:翻訳に加え、地域の読み手に必要な補足や表記の調整を検討します。
- 広告コピー・スローガン:伝えたい印象と許容する変更範囲を決め、表現の作り直しを検討します。
- 記事・動画・SNS:内容、文字数、表示時間、読み手に合わせて必要な作業を選びます。
費用は手法の名前だけでは比較できません。対象分量、調査、提案数、修正回数、専門的な確認、画面への反映が含まれているかを確認します。短いコピーでも、案を作り分けて承認する作業が多ければ時間が必要です。
発注前に、判断に使う資料をそろえる
依頼先には、対象の読み手、ページの用途、原文、正式な製品名、参考資料、公開予定を渡します。用語集は名称や訳語の基準、ガイドラインは文体や表記の基準として使い分けます。
表現を作り直す箇所では、原文の意図に加え、候補の訳し戻しや提案理由を依頼すると、対象言語が読めない担当者も判断しやすくなります。誰が言語面を確認し、誰が製品や契約の内容を承認するかも決めてください。
自動翻訳を下訳に使う場合は、原文の欠落、数値や否定の変化、用語の不統一を確認します。確認の範囲は、誤訳した場合の影響や公開までの時間を踏まえて決めます。
文化・表記・利用条件の確認を作業範囲に入れる
写真や記号が適切か、必要な表示がそろっているかは、文章の翻訳だけでは判断できません。確認を依頼する範囲に含め、地域や業種に応じて担当部門にも相談します。
日付や金額は、値と表示形式を分けて扱います。単位や通貨を変更する場合は、換算方法や丸め方、実際の請求条件を決めます。日付や数値を翻訳対象から除外して実装側で表示する方法もありますが、すべてのサイトに共通する必須の方法ではありません。
公開前には、確定した文章を実際の画面で確認します。公開後の修正は理由と適用範囲を残し、用語集と確認担当の決め方に沿って次の更新へ引き継ぎます。